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永住許可 vs 帰化申請|どちらを選ぶ? 行政書士が徹底比較と選択のポイントを解説

  • 執筆者の写真: sunshine333meecha9
    sunshine333meecha9
  • 7月31日
  • 読了時間: 7分

更新日:8月12日



はじめに


近年、日本での生活基盤をより安定させたいと考える外国人の方が増えています。その選択肢として大きな分かれ道となるのが「永住許可」と「帰化申請」です。どちらも長期的に日本に住み続けるための制度ですが、その性質や要件、得られる権利・義務は大きく異なります。この記事では、行政書士の視点から両制度の特徴を詳しく比較し、ご自身に最適な選択をするためのポイントをお伝えします。


1. 本質的な違い:在留資格 vs 国籍取得


  • 永住許可

    • 目的: 現状の在留資格(就労、配偶者など)を維持したまま、在留期間の制限をなくすこと

    • 法的立場: 引き続き外国人としての立場(在留資格「永住者」)。日本国籍は取得しません。

    • パスポート: 母国のパスポートを引き続き使用します。

    • 日本国籍の離脱: 不要(母国籍を保持)。

  • 帰化申請

    • 目的: 日本国籍を取得し、日本人になること

    • 法的立場: 日本国民としての立場(戸籍が編製されます)。

    • パスポート: 日本のパスポートを取得します。

    • 日本国籍の離脱: 多くの場合、元の国籍を失う(または選択的国籍留保の手続きが必要。二重国籍は原則認められない)。


2. 要件の比較:取得するための条件


項目

永住許可

帰化申請

在留期間

原則10年以上継続して日本に在留していること(うち5年以上就労または居住の安定があること)※日本人・永住者の配偶者は短縮あり(1年以上婚姻+在留通算3年以上など)

原則5年以上継続して日本に在留していること(日本人配偶者等は短縮あり)

素行要件

素行が善良であること(前科がない、納税や年金納付の義務を果たしているなど)

素行が善良であること(軽微な交通違反等も審査対象になる)

独立生計要件

安定した収入または十分な資産があること(単身者で年収300万円以上が目安)

生計を維持できる能力があること(家族構成によって求められる収入が異なる)

国益適合要件

公共の負担とならない、納税義務を履行しているなど

日本国に対する忠誠・遵法意識があること(反社会勢力との関係がないなど)

日本語能力

形式的な要件なし(ただし、面談等である程度の理解力は求められる)

小学校3年生程度以上の日本語能力が必要(読み書き・会話)

その他特記事項

在留資格の種類によっては永住申請不可なケースもある(技能実習など)

原則として重国籍は認められず、母国籍の離脱または選択的手続きが求められる


3. 取得後の権利・義務・生活の比較


項目

永住許可

帰化申請

参政権

❌ なし(国政選挙・地方選挙の投票権・被選挙権なし)

⭕ あり(日本国民として全ての選挙権・被選挙権を有する)

職業制限

基本的に**⭕ なし**(「永住者」の活動範囲は無制限)

⭕ なし(日本国民と同等)

在留カード

⭕ 携帯義務あり(常時携帯、7年毎更新)

❌ 不要(日本の戸籍が編製され、マイナンバーカードや運転免許証等で身分証明)

再入国許可

⭕ 必要(1年以内の再入国はみなし再入国許可、1年超は事前申請必須)

❌ 不要(日本のパスポートで自由に出入国)

公務就任権

❌ 制限あり(国家公務員等一部制限)

⭕ 原則制限なし(日本国民と同等)

社会保障

国民健康保険、国民年金等、⭕ 日本人とほぼ同等(加入要件は個別に確認)

⭕ 日本人と完全に同等

国籍表示

母国名

日本

海外渡航

母国パスポート+日本の再入国許可

日本パスポート

義務(兵役)

母国によっては兵役義務のリスクあり

⭕ なし(日本国憲法で禁止)

相続・遺言

母国の法律が適用される可能性が高い(国際相続)

⭕ 日本の法律が適用

戸籍

❌ なし

⭕ あり(本籍地を設定)

手続き期間

約6~12か月

約8か月~1年以上


4. どちらを選ぶべき? 選択のポイント


  • 永住許可が向いている方:

    • 母国の国籍を保持したい方。

    • 参政権(選挙権)を特に必要としない方。

    • 母国との結びつきが強く、頻繁に往来する方(再入国許可の手続きは必要)。

    • 将来的に母国へ戻る可能性がある方。

    • 帰化の厳しい日本語要件や素行要件(特に過去の軽微な違反等)が気になる方。

  • 帰化申請が向いている方:

    • 日本に完全に帰属し、日本人として生きていきたいと強く考える方。

    • 参政権(選挙権・被選挙権)を行使したい方。

    • 公務員(特に国家公務員)を目指す方。

    • 国際結婚した子供の国籍を日本に統一したい方。

    • 母国のパスポートでの渡航が不便、または母国の情勢が不安定な方。

    • 再入国許可の手続きから解放され、自由に出入国したい方。

    • 戸籍を作り、日本の社会制度に完全に組み込まれたい方。


5. 申請の難易度と行政書士のサポート


  • 難易度:

    • いずれの申請も、提出書類が膨大で、審査基準も厳格です。特に帰化申請は「日本人としてふさわしいか」という観点からの総合的な審査が行われ、永住許可よりも全体的にハードルが高いと言えます(要件がより多く、審査がより厳格)。

  • 行政書士のサポート:

    • 必要書類の収集・作成: 戸籍謄本、納税証明書、年金記録、在職証明書、身元保証書など、多岐にわたる書類の取り付け方・作成方法を指導・代行します。

    • 申請書類の作成: 法務省(帰化)・入管(永住)が求める様式に正確に沿った申請書類を作成します。特に帰化の動機書は重要です。

    • 要件の事前確認: お客様の状況をもとに、申請要件を満たしているか、問題点はないかを細かくチェックします。

    • 申請先への対応: 永住許可では申請の取次をして入管との連絡の対応をします。帰化申請は提出代理が出来ないのが原則ですが、最近は東京を始め、行政書士の同席を認める法務局が増えているようです。

    • 面接対策(帰化): 面接の流れや想定される質問についてのアドバイスを行います。

    • 審査中の不安解消: 長い審査期間中のご不安や疑問にお答えします。


6. 永住許可と帰化申請に必要な書類の比較一覧


 必要な書類の一覧をまとめました。※個別の事情によって提出書類は異なる場合があるのであくまで今後に当事務所で帰化申請を進める上での目安としてください。


書類名

永住許可申請

帰化申請

申請書

✅(様式あり)

写真(縦4cm×横3cm)

パスポート・在留カードのコピー

住民票

✅(世帯全員分)

✅(本人・家族分)

所得課税証明書・納税証明書

✅(過去5年分)

✅(過去5年分)

源泉徴収票/確定申告書控え

在職証明書(または事業証明)

雇用主の会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)

✅(場合により)

預貯金通帳の写し・残高証明

✅(安定収入の裏付け)

✅(生計維持の証明)

賃貸契約書・住宅の登記簿謄本

✅(住居確認)

✅(居所の確認)

素行証明に関する書類(交通違反・罰金等)

年金保険料の納付状況がわかる書類

✅(2年以上の納付)

✅(継続納付)

親族関係を証明する書類(出生証明・婚姻証明)

✅(配偶者や子供が日本人等の場合)

✅(全員分。翻訳含む)

母国の戸籍謄本・国籍証明書

✅(+翻訳)

帰化の動機書(作文)

✅(本人が作成)

小学校レベルの日本語力証明

✅(面談で確認)

その他

個別に必要な書類

同上(特に本国書類が多い)


📌 書類ごとの補足解説

🔹 永住許可で特に重要な書類

  • 年収・納税関連の書類:安定した生計を証明するため、5年分の納税証明書が必須です。年収が300万円以上が目安(単身者の場合)。

  • 年金の納付記録:2年以上継続して納付していることが強く求められます(国民年金・厚生年金)。

  • 住居の証明:賃貸契約書や不動産の登記簿で、継続的な日本での生活実態を証明します。

  • 職業の証明:在職証明書や事業の登記簿、営業許可証など。

🔹 帰化申請で特に煩雑な書類

  • 母国の戸籍謄本、国籍証明書:国によって取得が難しく、翻訳も必要です。

  • 家族全員分の出生・婚姻・死亡などの関係証明書:広範囲に求められ、翻訳書類が多くなります。

  • 帰化の動機書:日本語で作文を作成(代筆不可)。審査官が面談で確認する際に重要です。

  • 日本語能力の証明(非公式):特に書類では不要ですが、面談での会話力が判断対象となります。


7. まとめ:将来設計に合わせた選択を


永住許可も帰化申請も、日本で安定した生活を築くための重要なステップです。どちらが優れているというわけではなく、ご自身の将来設計、母国との関係、価値観によって最適な選択は異なります。

  • 「母国のパスポートを持ちながら、日本に無期限に住み続けたい」 → 永住許可

  • 「日本に完全に根を下ろし、日本人としての権利と義務を全うしたい」 → 帰化申請

申請には長い時間と労力、そして綿密な準備が必要です。少しでも要件に不安があったり、書類作成が負担に感じたりする場合は、ぜひ早期に行政書士にご相談ください。経験豊富な行政書士が、お客様の夢の実現をサポートいたします。


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